このドキュメントではjava.net上のSunの3DデスクトップのオープンソースプロジェクトのProject Looking Glass開発者リリースを紹介します。開発環境の設定方法並びにProject Looking Glassと3Dアプリケーションのビルド方法を説明します。
もしまだ実行環境を設定していないのであれば、さぁ、はじめよう Project Looking Glass 開発者リリースの情報を参照して下さい。特に、自分の環境がProject Looking Glassを実行するための最低限の必要条件を満たしているかを確認して下さい。
アプリケーションの開発やProject Looking Glassの拡張をおこなうために、いくつかのコンポーネントをインストールし、Project Looking Glassのソースをダウンロードする必要があります。
Project Looking Glassは、ビルドプロセスを管理するためにApacheのANTビルドツールを使用します。まだANTをインストールしていなければ、apache.orgのWebサイトからバイナリをダウンロードして下さい。
http://ant.apache.org/
Project Looking Glass開発者リリースのソースコードは、java.net上のLG3Dオープンソースプロジェクトから入手できます。
まだjava.netに登録していなければ、ソースコードのダウンロードの前に次のようにアカウントを作成する必要があります。
さて次は、Project Looking Glassコアのソースを設定済みの開発システムに次のようにダウンロードします。
Windowsユーザへの注意: Windowsプラットフォーム用のCVSクライアントを使ってソースファイルをチェックアウトすることができます。 しかし、どのファイルをチェックする時でも、Windowsファイル名では大文字・小文字を区別しないということに注意する必要があります。
Project Looking Glassをビルドして実行するためには、Project Looking GlassのX11のソースをダウンロードする必要はありません。 もし、X11のソースのダウンロードを選ばなくても、(lg3d-devスクリプトを使って)"devモード"で実行できるでしょう。 このモードでは、3Dアプリケーションは実行できますが、ネイティブのX11アプリケーションは実行できません。
"sessionモード" (lg3d-session)と"appモード" (lg3d-app)を使えば、3DアプリケーションとネイティブのX11アプリケーションの両方が実行できるようになりますが、これらのスクリプトは、あなたがX11ソースをダウンロードしてビルドした場合だけ動作します。
Project Looking GlassのX11ソースをダウンロードするためには、lg3d-x11のCVSツリーをチェックアウトして、あなたがダウンロードしたlg3d-coreディレクトリと同じディレクトリ内にそのディレクトリを作ります。 必ずlg3d-coreのブランチと同じ名前のCVSブランチをチェックアウトしてください。
たとえば、lg3d-coreが/opt/mylg/lg3d-coreディレクトリにあり、そのブランチ名がdev-0-7-0の場合は、lg3d-x11を次のようにチェックアウトしてください。
% cd /opt/mylg
% cvs -d :pserver:username@cvs.dev.java.net:/cvs checkout -r dev-0-7-0 lg3d-x11/platform/arch lg3d-x11
platform/archの現在サポートされている値は、以下のどれかです。
linux/i686
solaris/i86pc (Solaris用)
おめでとうございます。 以上でビルド環境の設定が終了し、これでProject Looking Glassをビルドできるようになりました。
ソースからのProject Looking Glassのビルドは、lg3d-coreディレクトリにあるANTのビルドファイル(build.xml)によっておこなわれます。そのディレクトリに移動し、antコマンドを実行して、Project Looking Glassをビルドします。
% cd ~/projects/lg3d/lg3d-core実行すると、次のように出力されます。
% ant
Buildfile: build.xml
init:
[mkdir] Created dir: /home/username/projects/lg3d/lg3d-core/build/classes
unpack-x:
[untar] Expanding: /home/username/projects/lg3d/lg3d-core/ext/lg3d-x11.tar.gz into /home/username/projects/lg3d/lg3d-core/ext
compile:
[javac] Compiling 1 source file to /home/username/projects/lg3d/lg3d-core/build-tools
[javac] Compiling 626 source files to /home/username/projects/lg3d/lg3d-core/build/classes
compile-x11:
check-escher:
[javac] Compiling 25 source files to /home/username/projects/lg3d/lg3d-core/build/classes
init:
unpack-x:
native-x11:
[exec] .:/home/username/projects/lg3d/lg3d-core/src/../build/classes
junit-tests:
no-junit-tests:
[echo] Skipping junit tests because junit.jar is not installed in ext-unbundeled
compile-demo-apps:
[javac] Compiling 5 source files to /home/username/projects/lg3d/lg3d-core/build/classes
[copy] Copying 4 files to /home/username/projects/lg3d/lg3d-core/build/classes/org/jdesktop/lg3d/apps/cdviewer/resources
[copy] Copying 1 file to /home/username/projects/lg3d/lg3d-core/build/classes/org/jdesktop/lg3d/apps/tutorial/resources
[copy] Copying 1 file to /home/username/projects/lg3d/lg3d-core/build/classes/org/jdesktop/lg3d/apps/help/resources
jar:
[mkdir] Created dir: /home/username/projects/lg3d/lg3d-core/build/lib
[jar] Building jar: /home/username/projects/lg3d/lg3d-core/build/lib/lg3d-core.jar
all:
BUILD SUCCESSFUL
Total time: 32 seconds
Project Looking Glassを起動する方法は、appモード、sessionモード、devモードの3つがあります。
これらのモードはさぁ、はじめよう Project Looking Glass 開発者リリースドキュメントのProject Looking Glassの起動の節に書かれています。
開発者としての唯一の違いは、
~/projects/lg3d/lg3d-core/bin
の中にある起動スクリプトの代わりに、
~/projects/lg3d/lg3d-core/src/devscripts.
の中にある起動スクリプトを使う必要があることです。
Project Looking Glassの起動がうまくいかない場合は、さぁ、はじめよう Project Looking Glass 開発者リリースのトラブルシューティングの節を参照して下さい。
Project Looking Glassの最新の開発状況を反映するには、java.netのcvsサーバに定期的にログインし、次のように自分のcvsの作業領域を更新して下さい。
以上で、Project Looking Glassを無事ビルドすることができました。さて、次にソースコードに親しむために、lg3d-core/ディレクトリをざっと見て回りましょう。
Project Looking Glassのソースコードはlg3d-core/srcにあります。以下は、lg3d-coreのソースのCVSリポジトリにある様々なファイルの概要です。
| ディレクトリ | 説明 |
| build/ | ビルドファイルはこのディレクトリにあります。 |
| build-tools/ | Project Looking Glassをビルドするためのツール群です。 |
| build.xml | Antのビルド制御ファイルです。 |
| ext/ | escher (X11のJavaバインディング)やlg3d-x11の安定版ビルドのような、Project Looking Glassと共にリリースされる様々なコンポーネントです。 |
| app/ | タスクバーに配備するアプリケーションを置くディレクトリ。
LG3Dは自動的にこのディレクトリの中のJARファイルを探して、(もし正しく設定されていれば)タスクバーにそれらを追加します。 |
| ext-unbundled/ | Project Looking Glassと一緒に配布することが認められていないコンポーネント(例、junit, Java3Dローダなど)を入れることができるディレクトリです。$LGX11HOMEを使う代わりに自分でビルドしたlg3d-x11をここに入れることもできます。 |
| src/ | lg3d-coreのソースツリーのルートです。 |
| classes/ | すべての.javaファイルがここにあります。 より詳しい情報は、バイナリに含まれているdocs/javadoc/apiにあるjavadocファイルを参照してください。 |
| devscripts/ | 様々なProject Looking Glass開発用スクリプトのソースです。これらはbuild/ディレクトリにあるクラスを利用します。 |
| HelloUniverse | Project Looking GlassセッションにおいてJava3Dの回転立方体のデモを起動するスクリプトです。 |
| README | このディレクトリにあるいくつかのスクリプトに対する説明です。 |
|
Xtest |
X11サポートを使わずに、Java X11のクラスをテストするためのスクリプトです。 |
| displayserver | Display Serverを起動するスクリプトです。 |
| lg3d-dev | 既存のX11デスクトップ(例、Gnome、KDE)の中の1つのウィンドウ内で、X11アプリケーションサポートなしでProject Looking Glassセッションを起動します。
(これは、「開発者用」または「Xなしのモード」と呼ばれます) |
|
lg3d-session |
X11アプリケーションサポートありで、Project Looking Glassセッションをフルスクリーンモードで起動するものです。 |
|
lg3d-app |
Project Looking Glassを、X11アプリケーションサポートありで、既存のX11デスクトップ(例、Gnome、KDE)の一つのウィンドウとして起動します。 |
|
postinstall |
lg3d-appモードのための設定スクリプトで、lg3d-appを起動する前にrootで実行しておく必要があります。 |
| setup | 他のスクリプトが利用するヘルパースクリプトです。 |
| etc/ | 様々な設定ファイルを含んでいます。 |
| jz/ | 現在利用されていないディレクトリです。 |
| lg3d/ | |
| README | 様々なlgconfig*ファイルのドキュメントです。 |
| lgconfig* | Project Looking Glassが実行可能な様々なモードに応じた設定スクリプトです。 |
| logging.properties | Display Serverのログファイルである/var/tmp/lgserver.logへのログ出力の冗長度を制御するための設定ファイルです。 |
| displayconfig/ | 実験目的のために、このディレクトリには、Project Looking Glassを、マルチスクリーン、立体視、Power Wall (壁面型の大型表示装置) などの複雑な表示環境で起動するためのファイルがあります。設定の選択はlgconfig.xmlでおこないます。 警告! 他のディスプレイ設定はまだ十分にテストされていません。 |
| native/org/jdesktop/lg3d/displayserver/fws/x11/ | X11との統合のためのCのコードです。 |
| resources/images/ | Project Looking Glassで使われる様々な画像です。 |
| tests/ | そのうちにProject Looking Glassのテストスィートを格納します。 |
| www/ | java.netサイトのページと様々なドキュメントです。 |
次のように、LG3Dプロジェクトへのアクセス権をリクエストします。
Project Looking Glassは、Project Looking Glass3Dデスクトップ環境の3Dの性質を活かしたアプリケーションの書き方を学ぶために用いることができる3Dアプリケーションの例を含んでいます。これらの例はlg3d-demo-appsプロジェクトで見つけることができます。
参考:
NetBeansを使ったProject Looking Glassのビルドと実行
さぁ、はじめよう Project Looking Glass 開発者リリース
Project Looking Glass開発者リリースノート
Project Looking Glassへの貢献